報告が前後するが、3月に竣工した福祉施設を紹介したい。
昭島駅から徒歩で約15分、畑が多く残る静かな住宅地が立地になる。現在工事中の幅員16m道路に面し、道路が完成するば多くの人が行きかうことになり、地域との強いつながりを想定できる敷地特性だ。

障害を持った方の就労支援施設であるこの建物は、木造の2階建てで東西に長い平面形状だ。外壁はガルバリュームの板金葺きで小波と平葺を使い分け単調にならないよう工夫した。

内部は、木のよさを表現しつつ、所謂「施設らしさ」をあまり感じられないよう、仕上やディティールに気を遣った。また、建具や一部壁に積極的に色を使い、空間に性格を持たせた。


設計するにあたり、施設利用者がふと一人になりたいときや、気持ちを休めたいときなど、ゆとりを持てるような空間づくりを意識した。また、社会生活を送る中での止まり木のような居場所になれることも必要と考えた。

設計期間から竣工まで、理事長をはじめ施設長やスタッフの方々とも多くの話をした。上棟式や見学会では利用者の皆さんとも接する機会をいただいた。この時間は私にとって掛け替えのない経験である。また、関係者の皆さんに感謝を申し上げたい。
Comment