今回も旅行の話。
旅行初日にスイスのバーゼルにほど近いドイツのまち、ヴァイル・アム・ラインに寄った。デザイナーズ家具のブランド、ヴィトラ社の建築群を見学するためだ。ガイドに案内してもらい倉庫や工場など立ち入り禁止エリア内の建築を見ることができた。ガイドの女性は、全く英語ができない私たちに中学校レベルの単語とジェスチャーで丁寧に説明してくれた。お礼を言いたい、サンキューベリーマッチ。
この建築群を見学して、自社建築のデザインに対する強い想いが伝わってきた。
通路の奥突き当たりにザハ・ハディド設計の施設内消防署が建っている。時系列的にこの消防署が先に建設された。その後消防署の手前にアルヴァロ・シザ設計の工場が建設されることになり、その通路を横切るように屋根付きの渡り廊下が必要になった。ところがその屋根の存在によって奥の消防署が見えづらくなってしまう。
そこでどうしたか。普段は高い位置ある屋根が、降雨の時のみセンサーで感知し屋根が降りてくるというのだ。船が通るとき上がる橋は聞いたことはあるが、景観それも建築が見えなくなるという理由で屋根を可動にする感覚に本当に驚いた。お金もかかっていることだろう。
つぎに敷地奥の倉庫に移動した。
妹島和世と西沢立衛とのユニットSANAA(サナア)の設計。波打ったアクリルガラスが連続しているだけでもきれいだが、表面にボルト等の金物が全くない。単純な形状を追求するためにはパネルの固定方法や熱変形への対応には大変苦労したとガイドが言っていた(と思う)。
よく考えてみると、この倉庫が建っているエリアは立入り禁止。つまり従業員など限られた者しか見ることができず、一般の人は体感できない。私は建築のファサードデザインは地域やその周辺に何らかの意図を伝える為と思っていたが、この倉庫は従業員というかなり限られた範囲がその対象ということだ。従業員の為だけに、お金をかけて、苦労して新しい工法を開発して美しい建築をつくる、これには感動した。
この日は人の優しさや美しい建築に触れ、満開のさくらとおいしい料理、最高の一日だった。
(文中、敬称略)
建築に対する想い
2015.06.16 火曜日 21:02
スケール感
2015.06.03 水曜日 11:29
ラトゥーレット修道院に宿泊しての感想。
リヨンからローカル線で30分、そこから徒歩で30分、小高い丘の上に建っていた。
まずは外観から。
ひらけた斜面の上部に、四角く角張った5層分のコンクリートの塊が聳え立っている。これだけ余裕のある敷地でありながら、ロの字型の平面計画と高層断面のせいでものすごい存在感のあるスケールだ。
内部はというと、高い天井の礼拝堂のあと個室階の廊下に行くとても天井が低く感じる。2,260ではあるがとても長い廊下なので低く感じるのだろう。同じ天井高の個室はとても狭い空間なので逆にちょっと高く感じるのだ。
スケール感の操作によって空間のメリハリがついているとも言えるが、あまりにもそのギャップが大きく、冷房のきつい部屋と炎天下とを行き来しているような感覚で、少々疲れてしまった。
スケール感ってむずかしい。
モノの輪郭
2015.05.28 木曜日 19:56
先週まで地元の小さな展示会に絵を出品した。
水彩を下地にパステルで仕上げた。大きさは高1030.巾728。
親から送ってもらったトマト、
いただいたハヤトウリ、
妻がプランターで作ったなす、
改修をお手伝いしたギャラリーに実っていた柿
などの野菜や果物がモチーフになっている。
球に近いものを選んだのだが、描いてみると微妙に輪郭に特徴があることに気付く。ピーマンでなくパプリカ、りんごでなく梨、それぞれに独自の輪郭があるようだ。
デッサンはその中身がどうなっているかを想像して描くと言われる。殻付きのたまごを毎日一個描き続けると、ゆでたまごと生たまごの違いが触らずに外見だけで見分けられるようになるらしい。そんな馬鹿な。
リアルお年寄り
2015.05.11 月曜日 19:08
再び旅行の話。
今回のフランス旅行は色々な交通機関を使った。地下鉄や路面電車、バスなどなど。当然普段の生活のなかに飛び込むことになるのだが、現地の極々当たり前のお年寄りの姿がとても新鮮に映った。
考えてみると、日本にも外国の方はたくさんいて、外国人自体全く珍しいことではないが、日本に来ている理由はビジネスや留学、旅行などだから年齢は若年層になってくる。赤ちゃんはよく見かけるが、お年寄りはまず目撃していないことに気づく。映画やテレビでしか見ることがなかったお年寄りがとても新鮮だった。
バスで座っていたら、素敵なご夫人が乗ってきたので、席を譲ったら、
「メルシィー、ムッシュー」と言われた。
俺がムッシュー! そう言われてなぜか嬉しかったが「どういたしまして」が言えず満面の笑顔で返したのたった。
イメージと現実
2015.04.24 金曜日 10:20
今月のはじめから、フランスに行ってきた。
主な趣旨は、巨匠ル・コルビュジェ建築を体験する旅。東から入って地中海にかけて電車で移動した。とても有意義な旅だった。その記録として今後気がむいたときに何回か投稿する。
電車の旅ということで出発前のイメージは、「世界の車窓から」的に窓にひじをかけて地中海の青い海に酔いしれる、だったが基本的に海外の電車の窓は汚い。景色などあまり見えず、挙句に結構ゆれるので酔いしれるどころか酔いそうになる。理想と現実の違いが大きかった。
そのように抱いていたイメージと現実の違いはあのロンシャン礼拝堂でもあって、教科書、その他どんな書籍でもロンシャンといえばこのカット。
だだっ広い丘の上にぽこっと礼拝堂が佇んでいると思っていた。実際には周辺に樹木や建物が結構あって、いざこのアングルを撮影しようすると急傾斜の縁にぎりぎりに立たたなければならない。あきらかに外部空間の自然な導線の一部にこのアングルは現れない。この有名なアングルはコルビュジェが意図したファサードだったのか疑問が残る。今後再度思案したいところだ。
テーブルの寸法
2015.03.18 水曜日 0:16
我が事務所
2015.03.07 土曜日 12:39
善福寺ってどんなお寺?
2015.03.01 日曜日 21:59
数日前、上石神井に行く機会があった。例のごとく、前もって地図をチェック。そこには善福寺川の文字が。善福寺川といえば台風やゲリラ豪雨のときによくニュースで聞く。どんな荒々しい河川なのか是非見てみたい、とりあえず向かってみた。
あまりにも水量が少なく、想像とはかけ離れた川だった。あとで調べてみたら、ゲリラ豪雨対策で地下空間等を利用して水量調整しているが、季節によっては完全に源流が止まるのでわざわざ水を放流しているとのこと。
気を取り直して上流へ。善福寺公園にたどり着いた。「上の池」「下の池」という大きな池があり、夕刻だったので子どもたちの遊ぶ声が聞こえてくる。水辺には人を集める力があるようだ。
さらに地図には「善福寺」なるお寺が記してある。有名な川、大きな公園ときたらその名前の由来かもしれないお寺に期待が高まる。休日の夕方だ、出店のひとつでもあるかもしれない。
あまりにも殺風景で驚いた。出店どころか、賽銭箱もない。隅々まで手入れされているため緊張すら覚える。全く人気がない。ちょっとなにか食べながらのんびりする期待はあえなく消えた。ちょっと期待はずれだったが冬の善福寺周辺を楽しむことができた。
地下工事で想うこと
2015.02.21 土曜日 12:45
会ったことない人を描く
2015.02.15 日曜日 21:05