年賀状は15年前から木版画を刷っている。今回はその版画でなく、画面の端に押される落款印について述べたいと思う。
落款印は作品が出来上がったときに押される「締め」みたいなものと思い、終わりよければ全てよしではないが、少し気にして画材を決めた。
数年までは、一般的なインクが染み込んでいるタイプの朱肉を使っていたのだが、なんか物足りない感じがしていた。
そこで、知人を教えてもらい本場中国の朱肉を取り寄せた。その朱肉の名はズバリ「美麗」。辞書によると「人の目にとまるほど美しいこと」らしい。
やはり一般的な朱肉とは色の深みが全く違う。これだけで作品のレベルが上がったようにさえ見えてくる。
ただ、美しいものは扱いが難しいのか、とても手間がかかる。粘土ようにグニョグニョしてるので印鑑の面に朱肉を乗せすぎないようにしながら均一につけなければならないし、印鑑にハァーと息を吹きかけて朱肉を柔らかくして力強く押す必要がある。押した後もなかなか乾かない。
そんな作業を妻に手伝ってもらいながら年賀状を作るのが、毎年12月30日の我が家の風景た。
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